中国のコンテナ不足は長期化か? / コンテナ市況レポート 2017年6月

中国のコンテナ不足は長期化か? / コンテナ市況レポート 2017年6月

中国でコンテナが足りない。船会社がリース会社にコンテナを返却しても直ぐ他の船会社のブッキングが入る現状である。そのためリース会社は売却対象コンテナについても修理をして通常のリースに回している。その結果、売却用のコンテナが不足する事態になっている。中国での中古コンテナの売却価格が上がっている。一方、リース会社が発注する新造コンテナも工場で生産されると、直ぐ船会社へ長期リースで決まるようである。現在の中国の新造コンテナの7~8割は既に船会社に長期リースで決まっていると言われる。リース会社は、そんな中でもコンテナ調達資金に苦労している。過去のリース会社による、長期リース争奪戦の競争激化により、リース料金の低下のために、リース会社の収益の伸びが落ちているため、資金もおいそれと確保することが難しなっているようである。その上、まだ韓進海運倒産によりコンテナ回収問題がまだ尾を引いている。

今年の4月から中国全土の新造コンテナは水性塗料が義務付けられた。メーカーは、溶剤系塗料から水性塗料に工場ラインをシフトさせた。2ヵ月経って水性塗料のコンテナの生産も順調に量産されているようである。新造価格は$2,100 per 20fと落ち着いている。あるリース会社はメーカーの水性塗料コンテナの品質に信頼性がおけるまで発注を控えていたが、現在の中国のコンテナ需要に対して静観していられなくなり発注を始めた。一方、今まで質を重視していたある大手リース会社は、今年のリース需要を先取りし、コンテナ発注量で差別化を図ろうとしている。そのため、今まで発注実績がないメーカーに対してもスペースの空きがあれば発注し、量を確保している。一説よると、その大手リース会社は、既に一社で45万TEUを発注していると言われている。

リース会社は、相変わらず投機的にコンテナを購入できる資金力がある会社、また船会社との長期リース契約が決まればそのコンテナ購入資金を調達できる会社、或いは引き続きマーケットを静観し、マーケットが安定するまで現有コンテナフリートでやっていく会社に分けられるようである。現在の中国コンテナメーカ―の新造コンテナ在庫数は、55万TEU弱。先月から7万TEUほど減っている。

この中国でのコンテナ不足の原因は何なのか?特需がある訳ではない。いろいろな要素が絡み合って現状の需要が発生していると考える。もちろん夏に向かってアジアから北米、欧州の輸出が増えている。しかし、一番の要因は、船会社が思うように中国およびコンテナ需要地に空コンテナを回送できないと言う事である。その大きな原因は、4月1日からの下記の新アライアンスのスタートである。

2M Maersk、MSC 2社 船腹量シェア 27.3%
Ocean Alliance CMA-CGM(APLを買収)、OOCL、COSCO (中国海運と合併)、Evergreen 4社 船腹量シェア 23.5%
The Alliance NYK、MOL、K Line、Hapag-Llyd(UASCを統合)、Yang-Ming 5社 船腹量シェア 18%

それまでは、2M(マースク、MSC)、O3(CMA-CGM, 中国海運、UASC)、G6(NYK、 MOL、 Hapg-Loyd、 OOCL、APL、 現代商船)、CKYHE(CSC、K Line、Yang Ming、Hanjin、Evergreen)の4つのアライアンスであったものが、4月1日を境に、3つのアライアンスに大編成したのである。CKYHEのメンバーが他のアライアンスに組み込まれた形となった。

しかも2つのアライアンス、Ocean AllianceとThe Allianceは正式に発表されてから1年での編成である。もちろん、発表まえから用意周到に準備をしていたと言え短期間での編成作業である。そのために、各船会社は、アライアンスの移動により配船船腹の入れ替え、サービス航路の変更、寄港地の変更、大型コンテナ船投入による投入船のカスケード問題等々を考えると、各社はコンテナのことまで手が回らなかったのが現状ではないのか?その上、昨年8月末のHanjin海運の倒産はアライアンス再編成にあたって、新アライアンスのスムースな移行をさらに複雑にしたと言える。それが現在の中国およびコンテナ需要地でのコンテナ不足を招いている。現在の船会社のインベントリーの混乱をみると中国、アジアでのコンテナの不足状況はしばらく続きそうである。

5月31日、邦船3社が統合定期船会社の名前を発表した。“Ocean Network Express”である。頭文字をみると、“ONE”となり3社の気持ちが伝わってくる。持ち株会社を東京の置き、事業運営会社の本社をシンガポールに置いた。シンガポールの地理的優位性、船会社に対する税制優遇措置は見逃せない。また、NYKとK Line、2社が既にコンテナ船事業の本社機能をシンガポールに移しており順当な結果である。これで新会社は約1,100億円の統合効果を見込み、来年4月からサービル開始する。新会社に対して、日本人の協調精神、”和“を尊びながらも革新的に、新しいものに挑戦して、世界の定期船事業に、新たな息吹、力をもたらすことを期待したい。

株式会社EFインターナショナル
中尾 治美

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